家族や親族が亡くなった際に行う作業を「遺品整理」といいますが、似たような言葉に「生前整理」というものがあります。
遺品整理と生前整理にはどのような違いがあるのでしょうか。
また、なぜ手間のかかる遺品整理や生前整理を行うのか、その必要性も気になりますよね。
ここでは、遺品整理と生前整理の違いと必要性、また自分で作業する場合のポイントなどをまとめています。
遺品整理業者を利用する際の選び方なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
知っておくべき遺品整理・生前整理の違いや必要性
遺品整理と生前整理は、いずれも部屋にある荷物の仕分けや不用品の処分といった片付け作業を行うことを指します。
まずは、それぞれの特徴と違いについて詳しく見ていきましょう。
遺品整理とは
遺品整理とは、家族や親族が亡くなったあとに、残された家族が故人の部屋を片付けることです。
主に同居している家族が作業を行いますが、故人が一人暮らしをしていた場合は近隣の親戚などで協力して作業することになります。
遺品整理の場合は持ち主がすでに亡くなっている状態のため、部屋に残っている家具・家電や衣類などの処理は遺族間で相談する必要があります。
また遺言書が残っていない場合、相続や遺品整理の作業分担なども自分たちで考えなければいけません。
形見分けや作業費用といったお金の問題から、遺族同士でトラブルに発展する可能性もあるでしょう。
遺品整理の知識がある人を間にはさみ、相談しながら進めていくことが重要となります。
生前整理とは
生前整理とは、本人が亡くなる前に、自ら部屋の片付けを行うことです。
いわゆる「終活」の1つで、エンディングノートや遺言書の作成、財産目録の準備なども含まれます。
生前整理の場合は持ち主自身が片付けを行うため、部屋に残っている品物の処理がしやすいというメリットがあります。
残りの人生を見つめ直し、不要となったものを処分することで気持ちをスッキリさせることができるでしょう。
遺品整理は葬儀などが一通り落ち着いたあとに作業するのが基本ですが、生前整理の場合は特にタイミングの決まりがありません。
片付ける体力・気力が残っているうちに、自分のタイミングで始めてみると良いでしょう。
遺品整理・生前整理の必要性
遺品整理は、部屋の引き渡しや形見分けなどをする際に必要となる作業です。
相続されるものは現金や貴金属などの分かりやすいものだけでなく、土地や建物、また骨董品のように素人では価値が判断できないものも含まれることがあります。
そのためきちんと仕分け作業を行い、価値を見極めたうえで相続・処分といった判断をする必要があるでしょう。
しかし、遺品整理は体力的にも精神的にも負担が大きい作業です。
作業する中で遺族同士がトラブルを起こしたり、故人の意思とは異なる対応をされてしまったりする可能性も。
そこでおすすめしたいのが生前整理です。
自分自身が元気なうちに部屋の片付けや財産分与の取り決めを行っておくことで、遺族の負担を大きく軽減することができます。
また相続という形で引き継いでほしい品物や、なぜ残してほしいのかといった思い入れなどを事前に家族と共有できるのもメリット。
現在は20代・30代の頃から生前整理を行う方も珍しくなく、生活をシンプル化させるという意味でもおすすめの方法となっています。
自分で片付け・処分をする際のやり方のポイント
遺品整理・生前整理は業者に依頼することもできますが、自分たちで進めることも不可能ではありません。
続いて、自分で遺品整理・生前整理を行う際の流れやポイントについて詳しく見ていきましょう。
家財の仕分け
遺品整理の場合も生前整理の場合も、はじめに行うのが部屋にある品物の仕分け作業です。
仕分け方としては、相続できる財産・今後使えるもの・もう使わないものの3種類に分けるのがおすすめ。
この際、「いつか使うかもしれない」と残してあったものも思い切って処分してしまうと案外スッキリするかもしれません。
気持ち的にどうしても処分できないものは一度保留しておき、時間をあけてから再度検討してみると良いでしょう。
不用品の処分
仕分けが完了したら、不用品となったものやゴミの処分を行います。
状態の良いものは値段が付く可能性もあるので、リサイクルショップや不用品回収業者に査定を依頼することをおすすめします。
また業者で買取してもらえなかったものでも、フリマアプリなどを活用することで購入希望者が現れるケースも。
明らかにゴミと思われるものを除き、廃棄以外の処分方法を検討してみると良いでしょう。
部屋の掃除・原状回復
遺品整理の場合、片付けの最後に部屋の掃除を行います。
部屋の中で亡くなったケースや発見までに時間がかかったケースでは、原状回復工事が必要になる可能性があります。
プロでないと作業できないものもあるため、特殊清掃などのサービスに対応している業者へ問い合わせてみましょう。
生前整理・遺品整理は専門業者に依頼することも可能
家が大きい場合や大量のゴミで溢れているような場合、自力で片付けが進められないことも考えられます。
全国には遺品整理・生前整理を専門に行う業者が数多く存在しており、作業が難しい場合は業者に相談してみるのもおすすめです。
ここからは、遺品整理・生前整理を業者へ依頼するメリットについて解説していきます。
最短即日からスピーディーに作業してもらえる
遺品整理・生前整理は労力のかかる作業のため、自力で行う場合は何日にもわたってしまう場合が多いでしょう。
特に遺品整理の場合で、故人の住まいが賃貸住宅といったケースでは、短期間での作業が求められます。
遺品整理業者に依頼すれば、最短即日から希望に合わせて素早く作業を行ってくれるのがメリットです。
大型家具・家電の搬出も任せられる
遺品整理・生前整理の中で不要となった大型家具・家電を自力で処分するのは大変です。
自治体の粗大ゴミ回収に出すこともできますが、指定場所までの搬出は自分で行わなければいけません。
一方遺品整理業者なら、部屋からの運び出しや家具の解体といった作業も全て任せることができます。
仕分けのアドバイザーとしても活躍
遺品整理・生前整理を行う業者には、遺品整理士の資格を持ったスタッフが在籍している場合が多いです。
遺品の扱い方も丁寧ですし、仕分けの際は様々なアドバイスをもらうことができます。
品物の査定なども合わせて依頼できるため、親族間でトラブルになる可能性を最小限に抑えられるでしょう。
注意すべきトラブルと優良業者を選ぶポイント
遺品整理・生前整理を業者に依頼する際は、業者選びが非常に重要なポイントとなります。
最後に、遺品整理業者との間で起こりやすいトラブルの種類と注意点について詳しく見ていきましょう。
格安・無料をうたう業者には注意
他社と比較して大幅に料金が安い業者は注意が必要です。
見積もり時には安い料金を提示し、作業後にあれこれと理由を付けて高額な追加料金を請求されるトラブルが後を絶ちません。
必ず見積もり料金の内訳をチェックし、作業後の追加料金が発生しないことを確認しておきましょう。
また格安料金の業者を利用した場合、回収した遺品が不法投棄されている可能性が考えられます。
不法投棄が見つかると、業者ではなく持ち主が罪に問われることも。
複数の遺品整理業者で見積もりをとり、相場を把握したうえで利用する業者を選ぶようにしましょう。
必要な資格を持った業者に依頼を
遺品整理・生前整理を依頼する場合は遺品整理士が在籍しているかどうかも確認する必要があります。
知識のないスタッフに任せてしまうと、品物の価値が見極められず、本来価値のあるものが捨てられてしまうというトラブルにつながるかもしれません。
また思い入れのある品物を雑に扱われたり、高価な品物を安い値段で買い取られたりするケースも考えられます。
必ず遺品整理・生前整理の資格を持つプロのスタッフにお願いするようにしましょう。
優良業者であれば、ホームページ内に遺品整理士が在籍していることが明記されています。
遺品整理と生前整理まとめ
遺品整理・生前整理は手間と時間のかかる作業ですが、持ち主の想いを引き継ぐ大切な作業でもあります。
残された家族の負担を軽くするためにも、なるべく早い段階で生前整理をはじめていくと良いでしょう。
自力で作業を進めることが難しい場合や、品物の価値を自分で判断できないような場合は、プロの整理業者に依頼してみるのもおすすめです。
トラブルに巻き込まれて悲しい思いをすることがないよう、正しい知識を持って依頼する遺品整理業者を見極めてくださいね。