遺品整理とは、家族が亡くなったあとで自宅や実家に残っているものを片付ける作業のことです。
全てを不用品として処分するのではなく、形見分けして受け継いでいくものや相続に関する書類など、必要に応じて分別することが求められます。
とは言え、遺品整理は気持ちの面でなかなか手を付けづらく、いつから始めれば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
ここでは、いつから遺品整理を行えば良いのか、具体的な時期の例と片付けの仕方・注意点などをまとめています。遺品整理の対応に困っている方はぜひ参考にしてみてください。
遺品整理を始める一般的なタイミングとは
亡くなった人の部屋を片付ける作業は精神的な負担も伴うため、いつから始めようか悩んでしまいますよね。
まずは、一般的に遺品整理を行うタイミングとしておすすめの時期を紹介していきます。
遺品整理に決まったタイミングはありませんが、いつから始めようか迷っている方はおすすめ時期を参考に検討してみてください。
四十九日法要のあと
仏教において、故人の魂は死後49日まで現世にとどまっていると考えられています。
そのため、49日前までは故人の部屋や身の回りのものをそのままにしておき、法要が済んだあとに遺品整理を始める方が多いようです。
四十九日法要は親戚が集まる機会でもあるので、遺品整理の相談や形見分けを行いやすいというのも理由の1つ。いつから始めようか迷った場合は、遺品整理は四十九日法要のタイミングを待って行うことがおすすめです。
必要な手続きが一通り完了したあと
亡くなった家族が別居だった場合、電気やガスなど住居に関する手続きが必要となります。
また同居の場合でも、死亡届の提出や年金・保険金の手続きなど様々な処理が必要なため、すぐには遺品整理を行う時間がとれないかもしれません。
最低限の手続きが完了したあとに、いつから遺品整理を始めようかと計画を立てる方も多いようです。
相続税の申告期限に間に合わせる
遺品の中には、相続に関する書類や資産が紛れている可能性があります。
相続税は必ずしも支払うものではありませんが、非課税額を超えるような多額の相続を受けた場合は申告の義務が発生します。そのため、故人が多額の資産・価値のある財物を持っている場合には、早めに作業を始めることがおすすめです。
相続税の申告が必要な場合、被相続人が亡くなってから10か月以内に手続きを行う必要があります。申告の時期を過ぎてしまうと追徴課税が課せられるため、必ず期間内に申告するようにしましょう。
申告の際は相続する資産額を把握している必要があるため、早急に相続の対象となる書類や資産を探し出しておくことが求められます。いつから遺品整理を始めれば相続税の申告に間に合うかを考えながら計画的に進めましょう。
気持ちが落ち着いてから
法要などに合わせてなくても比較的親戚が集まりやすい場合や、相続税の申告が必要ない場合は、自分の気持ちが落ち着いてからゆっくり始めるのも1つです。
遺品整理は基本的に「いつから始めなければいけない」という決まりはないため、例えば1年経ってから始めても問題はありません。
とは言え、あまり長期間放置しておくと部屋の状態が悪くなったり、遺品整理自体を億劫に感じたりする可能性があります。
心が落ち着いたら、いつから遺品整理を始めるか、自分の中で目安を決めておくのがおすすめです。
賃貸物件の場合はいつから片付けを始めるべき?
遺品整理は基本的にいつから始めても良いですが、故人が賃貸住宅で一人暮らしをしていたという場合は早めの対応が求められます。
賃貸住宅は退去後に原状回復をして明け渡す必要があるため、いつまでも放置することはできません。
空き家の賃料を払い続けるのはもったいないので、いつから始めるか迷った場合は四十九日法要を目途に作業を行うのがおすすめです。
続いて、賃貸住宅で遺品整理を行う際に気を付けたいポイントを解説していきます。
賃貸住宅の契約情報の確認
賃貸住宅で遺品整理を行う場合、まずは賃貸借契約書の内容を確認してみてください。
賃貸借契約書には、家賃や退去日、追加費用がかかる条件などの契約内容が詳しく記載されています。
通常は月極契約となっているため、いつから翌月扱いになるのかを確認し、なるべく余分な家賃を払わずに済むよう作業を始めましょう。
退去日までに遺品整理を行うのが難しい場合は、プロの遺品整理業者を利用するのもおすすめです。
原状回復
原状回復とは、賃貸住宅を明け渡す際に、部屋を借りたときの状態に戻す作業のことです。
賃貸住宅の場合、退去日までに家具・家電を全て搬出し、故人によって作られた傷や汚れをキレイに清掃する必要があります。
また孤独死や自殺といったケースでは、特殊清掃やハウスクリーニングなど業者を入れた清掃が求められる可能性も。
原状回復は連帯保証人または相続人が責任者となるため、清掃が必要と判断したら早急に対処しましょう。
自分で片付けを行う際の注意点
部屋の広さや仕分ける不用品・ゴミの量によっては、業者を利用せず自力で遺品整理を行うことも可能です。
ここからは、自分たちで遺品整理を行う場合の注意点やコツを詳しく見ていきましょう。
相続に関する書類は処分しない
形見分けとして残す品物や、資産に関する書類などは自己判断で処分してはいけません。
亡くなったあとの手続きに必要なものもあるため、遺品整理の際は先に重要書類を集めておくと良いでしょう。
死亡の手続きや相続の際に必要となる書類には以下のようなものが挙げられます。
- 銀行口座の通帳
- 印鑑(実印・銀行印)
- クレジットカード
- マイナンバーカード
- 年金に関する書類・年金手帳
- 保険の証書
- 現金・商品券・有価証券などの金融資産
- 貴金属・骨董品・美術品
- 各種契約書類 など
また、故人が遺言書やエンディングノート、手紙を残している場合は、指示に沿って遺品整理や形見分けを行いましょう。
あらかじめ親族に同意を得ておく
遺品整理は親族間のトラブルが起こりやすい作業でもあります。
親族に許可を得ず勝手に遺品整理を行うと、資産を盗んだのではないかと疑われてしまうかもしれません。
いつから遺品整理を行うか、また誰がどのように作業するのかといった話し合いを先に行ってから進めるようにしましょう。
相続放棄には期限がある
故人が借金を背負っていたなど、なんらかの事情で相続を放棄したい場合は所定の手続きが必要です。
相続放棄・限定承認の手続きは、自分が相続人であることが分かってから3ヶ月以内に行わなければいけません。
また相続放棄を行う前に遺品整理を始めてしまうと、相続を承認したとみなされ放棄できなくなる可能性があります。
相続を放棄する場合は、3ヶ月以内かつ遺品整理を行う前に手続きを済ませるようにしましょう。
急ぐ場合には遺品整理の専門業者に頼むのもおすすめ
仕事や距離の都合でいつから作業を始めるか決められずにいる場合は、遺品整理業者を利用するのも便利です。
最後に、遺品整理業者が対応しているサービスと業者選びのポイントについて詳しく見ていきましょう。
遺品整理業者の作業
遺品整理業者の主な作業内容は以下の通りです。
- 遺品の仕分け
- 不用品回収・買取・処分
- 部屋の掃除
この他、業者によっては以下のサービスにも対応しています。
- ハウスクリーニング
- 特殊清掃
- リフォーム・解体工事
- 遺品供養
- 相続に関する手続き
孤独死などで特殊清掃やリフォームが必要な場合は、これらの作業に対応している業者へ依頼しましょう。
遺品整理を依頼した場合の費用相場
多くの遺品整理業者では、部屋の間取りに応じた目安の料金プランが用意されています。
不用品の量や部屋の状態によって料金は異なりますが、大まかな費用感としては以下の通りです。
間取り | 料金相場 |
---|---|
1R・1K | 30,000円~80,000円 |
1DK | 50,000円~120,000円 |
1LDK | 70,000円~200,000円 |
2DK | 90,000円~250,000円 |
2LDK | 120,000円~300,000円 |
3DK | 150,000円~400,000円 |
3LDK | 170,000円~500,000円 |
4LDK以上 | 220,000円~ |
特殊清掃やリフォーム工事を必要とする場合は更に料金が加算されるため、上記よりも高い金額になる可能性があります。
状況によって金額が異なるため、遺品整理を依頼する際は業者に現地見積もりをしてもらってから依頼先を決めるのがおすすめ。大抵の業者は現地見積もりは無料で対応してくれるため、まずは見積もりの問い合わせをしてみましょう。
いつから遺品整理をすべきかポイントまとめ
今回は、いつから遺品整理をすべきか解説してきました。最後に、改めてポイントをまとめてみましょう。
- いつから遺品整理をしなくてはいけないという時期はないものの、早めの作業がおすすめ
- 親族間でいつから作業するかなどを相談しておくことが大切
- 自力で遺品整理を行うことが難しい場合は遺品整理業者の利用が便利
遺品整理は明確な時期がないため、いつから始めようか悩んでしまう方も多いかもしれません。
あまり長期間放置しておくと部屋の劣化など他の問題が発生する可能性があるため、気持ちが落ち着いたら早めに取り掛かることをおすすめします。
また、仕分けや処分が大変な場合には、業者に頼むのも一つの方法です。自分では時間がとれずいつから作業ができるのかわからないときも、プロに頼めば数日のうちにきれいにしれくれます。
ぜひ検討してみてください。