部屋でごみが出たとき、普通の人ならゴミ箱に入れてごみの回収日にまとめて捨てます。しかし、中には心理的な原因や病気のために、ごみを片付けられない人間もいるのです。
こうした住人たちの部屋を「ゴミ屋敷」と称して、テレビなどで取り上げることも多くなっています。
今回は、ゴミ屋敷に住む人の心理について徹底的に解説します。ゴミ屋敷を作り上げてしまう人の特徴や心理的行動をチェックしたうえで、具体的な対策方法を見ていきましょう。
この記事は、次のような人におすすめの内容です。
- ゴミ屋敷の原因になる心理的な病気を知りたい人
- ゴミを溜め込む人の心理が気になる人
- ゴミ屋敷の事前対策をしたい人
ゴミ屋敷になってしまう心理的な原因・病気とは
マンションや実家の部屋などをゴミ屋敷にしてしまう人は、子供や学生、老人を想像するかもしれません。しかし、ゴミ屋敷の住人は仕事をバリバリこなす男性や女性も多くいるのです。
こうしたゴミ屋敷の住人は、心理的な原因や病気を抱えていることが多いです。具体的にどのような心理や病気がゴミ屋敷の原因になるのかチェックしていきましょう。
心理的な原因
ゴミ屋敷を作り出す家主の心理的な原因には、次のようなものがあるとされています。
- 部屋を片付ける行為に拒否反応がある
- ものを溜め込むことで孤独感を紛らわそうとする
- 強いストレスを感じている
心理的に健康な人からすれば信じられないかもしれませんが、ゴミ屋敷の住人の中には部屋の片付けが気持ちよいものだと感じない人もいるようです。また、部屋の中にあるものをごみと認識していない人も。
学校や仕事場などで心理的に大きなストレスを感じているために、自分の部屋を片付けられない人も多くいます。
心理的な病気
ゴミ屋敷の住人は、次のような心理的な病気を抱えていることがあると言われています。
- 潔癖症(汚れたものに触りたくない)
- ADHD
- 強迫性貯蔵症
- うつ病
- セルフネグレクト
- 認知症
- アスペルガー
ゴミ屋敷の住人が心理的病気を抱えているために部屋のごみを片付けられない場合は、専門機関で適切な治療を受けなければ問題は解決しません。
自ら心理的な病気に気付ければいいですが、なかなか難しいでしょう。ゴミ屋敷の住人の家族や友人が気付いて、本人に治療をすすめるなどしなければなかなか問題の解決には繋がらないでしょう。
片付けられない人の特徴や心理的行動
ごみを捨てられない状態が続いたり、ものを大量に買って整理しなかったりすると部屋がゴミ屋敷と化していきますが、片付けられない人だけの特徴や心理的行動があります。
部屋を片付けられない人の特徴や心理的行動には、どのようなものがあるのか順番にチェックしていきましょう。
片付けられない人の特徴
ものを片付けられなかったり、不要なものを捨てられなかったりする人の特徴は、次の通りです。
- 部屋を片付ける時間がない
- 整理整頓ができない
- 自治体のごみの回収サービスを知らない
- いらないものを買ってしまう
- 「もったいない」が口癖になっている
- 誰かに助けを求めることが苦手
部屋を片付けられない人は心理的な原因だけでなく、時間的に掃除ができないケースも考えられます。
仕事などで日々多忙な生活を送っている人は、なかなか整理整頓をする時間が取れずにゴミ屋敷を生み出してしまう可能性があるのです。
また、ゴミ屋敷の住人の中には自治体のごみ回収サービスの存在を知らなかったり、回収日を知らなかったりする人もいます。
いずれも、「今すぐ部屋を片付けなければいけない」という心理に至らない特徴があると言えるでしょう。
片付けられない人の心理的行動
マンションの部屋などを片付けられない住人は、次のような心理的行動を取っていることが多いです。
- ものがないと不安を感じる
- 物事をなんでも後回しにする
- 物事に無頓着・関心がない
- ゴミを集める癖がある
部屋の片付けができない人には、大量のものに囲まれていないと心理的な不安を感じたり、孤独感を味わったりする人が多くいます。
こうした人は、子供のころの出来事がトラウマになっているケースもあるので、心理専門の医療機関で適切な治療を受ける必要があります。
物事を後回しにしたり、物事に関心が持てなかったりする人は、そのような心理を抱く原因を探ることが大切です。もしかすると考え方の癖ではなく、心理的な病気を抱えているかもしれません。
ゴミ屋敷が引き起こす被害・リスク
住人の心理的な原因で発生することが多いゴミ屋敷ですが、長期間部屋にごみがある状態はさまざまな被害やリスクを持っています。
ゴミ屋敷が原因で引き起こす可能性がある被害やリスクは、次の通りです。
- 悪臭被害
- 健康被害
- 害虫・害獣被害
- 火災のリスク
- 近隣住人とのトラブル
悪臭被害
部屋にごみを溜め込むと、生ごみなどから異臭が発生します。異臭はゴミ屋敷に充満し、住人は日々においと共に生活することになるのです。
異臭に耐えられずにゴミ屋敷の窓を開ければ、同じマンションの住人や近所の人に迷惑が掛かって苦情がくる可能性が高いです。
また、ゴミ屋敷で発した異臭はごみを片付けただけでは取れないことがあります。部屋に異臭がこびりついていると、特殊な薬品などを使って清掃しなければにおいが取れないのです。
異臭をそのままにしておくと、引越し時などに家主とトラブルになったり、清掃料金を取られたりすることがあるため注意が必要です。
健康被害
ゴミ屋敷は身体的・心理的な健康を侵す原因になります。
例えば、部屋に溜まったホコリが原因でアレルギーや病気を発症したり、積み上げたごみが倒壊してけがをしたりするケースがあります。
また、ごみが溢れた部屋で生活すると気分が落ち込んだり、引きこもりがちになったりしますし、うつ病などの精神病を引き起こす可能性もあるのです。
害虫・害獣被害
部屋に長期間ごみを放置しておくと、害虫や害獣が集まって繁殖します。ダニやノミなどの小さなものだけでなく、ゴキブリやネズミなどが大量発生することもあるのです。
害虫や害獣が部屋のなかにいると、「片付けたくない」という心理が余計に強くなります。心理的な悪影響だけでなく、害虫や害獣が持つ病原菌で身体的な健康が脅かされることもあるのです。
害虫や害獣の駆除ができない女性も多くいますし、ゴミ屋敷で大繁殖すれば片付けのしようがなくなるでしょう。
火災のリスク
ゴミ屋敷に溜まったごみの種類にもよりますが、可燃ごみが多ければ大きな火災が発生する危険が高いです。
たとえ部屋の中に一切火の気がなくても、コンセントに積もったホコリが原因で火災が多いです。
近隣住人とのトラブル
ゴミ屋敷に大量のごみを長期間放置していると、住人の部屋の外にも影響が及びます。例えば、部屋から異臭が漏れたり、害虫・害獣の影響が出たりする可能性があります。
もしも、ゴミ屋敷から火災が発生すれば、「心理的病気が原因のゴミ屋敷だから」という言い訳も難しくなるでしょう。
溜め込む前に!事前対策として今からできること
部屋にごみを溜め込むサイクルができるとどんどん片付けが困難になり、あっという間にゴミ屋敷が完成してしまいます。
ごみを溜め込む心理がある人は、特に今からできることを意識して状態を改善しましょう。
ゴミ屋敷の事前対策として有効な方法には、次のようなものがあります。
- 必要がないものを買わない
- 定期的に友人や家族を部屋に呼ぶ
- 部屋ごとにゴミ箱を置く
- ごみ収集日を毎回利用する
- 清掃業者に定期依頼をする
必要がないものを買わない
心理的にものを溜め込む癖がある人は、そもそもものを買わないように意識することが大切です。
ものは必要なときに買う仕組み作りができると、ものがないときに感じる心理的な不安・孤独感を軽減できるかもしれません。
定期的に友人や家族を部屋に呼ぶ
誰かを部屋に呼ぶと、掃除ができない心理の人でも片付けをするきっかけになるのでおすすめです。
学生のうちは部屋に誰かを招く機会が比較的多いですが、仕事をし始めたり、老人になったりするとだんだんと回数は減っていきます。
人と話すと良い気分転換になることもあるので、たまには友人や家族を部屋に呼ぶといいでしょう。
部屋ごとにゴミ箱を置く
部屋にひとつゴミ箱を設置すると、ごみが出たときに捨てる行為が癖づけられるのでおすすめです。家の中にゴミ箱がひとつしかないと、「ごみを捨てる=面倒」という心理が働いて部屋が散らかりやすくなります。
ごみがよく出る場所を考えて適切な位置にゴミ箱を設置するようにしましょう。
ごみ収集日を毎回利用する
自治体のごみ回収日を毎回利用するようにすると、部屋にごみが溜まりづらくなります。ゴミ箱にものが入っていなくても、何か捨てるものはないか、部屋の中を探してみましょう。
「ものを捨てる=もったいない」という心理になるかもしれませんが、必要なものが探せないゴミ屋敷になる方がもったいないです。
清掃業者に定期依頼をする
時間的・心理的に自分で部屋の片付けをするのが難しい場合は、定期的に清掃業者に掃除を依頼するといいでしょう。
清掃業者への依頼については、次の章で詳しく説明するので合わせてチェックしてください。
もしゴミ屋敷状態になってしまったら?対応方法を紹介
もしも自分が住むマンションの部屋や実家などがゴミ屋敷状態になった場合は、適切な方法で片付けをすることが大切です。具体的な対応方法には、次の4つがあります。
- 自分で少しずつ片付ける
- 友人や家族に相談する
- 自治体に相談する
- プロの清掃業者に依頼する
自分で少しずつ片付ける
自分のごみを捨てられない心理が原因でゴミ屋敷を作り上げてしまったなら、まずは自分で部屋を片付けることを考えましょう。
ゴミ屋敷の片付けの手順は、ごみと必要なものを仕分けた後に処分していくのがおすすめです。
一気にゴミ屋敷を片付けようとする心理は分かりますが、ポイントは少しずつ掃除することが大切です。掃除する場所や時間を区切って、着実にゴミ屋敷を片付けていくといいでしょう。
友人や家族に相談する
ゴミ屋敷の住人だけで部屋を片付けるのが難しい場合は、親しい友人や家族にお願いして掃除を手伝ってもらう方法もあります。
一人ではなかなか片付けられないゴミ屋敷でも、複数人なら掃除できることも多いです。
ただし、友人や家族にゴミ屋敷の掃除を手伝ってもらうと、心理状況が悪くなる人もいるでしょう。
誰かに何かをお願いするのが心理的に難しい人は、自治体に相談したり、プロの清掃業者に片付けを依頼したりする方法を検討してみてください。
自治体に相談する
ゴミ屋敷がある部屋を管轄する自治体に相談して、ごみの処理方法を教えてもらうことも大切です。
長年にわたって溜め込んだごみの中には、捨て方が分からないものもあるでしょう。
自分の部屋がゴミ屋敷であることが自治体にバレることに心理的不安を感じる人もいます。しかし、廃棄方法をきちんと教えてもらって大事に至らないうちに片付けることをおすすめします。
プロの清掃業者に依頼する
自分でゴミ屋敷を片付ける時間がない人や誰かに助けを求めるのが苦手な心理を持っている人は、プロの清掃業者が提供する掃除サービスを利用するといいでしょう。
数多くのゴミ屋敷の清掃をしてきたプロの業者に片付けを依頼すれば、大量のゴミをご近所に気づかれることなく処分できたり、一人だと何時間もかかるゴミの分別や清掃作業も全てお任せで依頼できます。。
業者に依頼すると多少費用がかかりますが、引越しを依頼するのと同じようにプロに片付けを依頼すると片付け具合が変わってきます。
必要なものとごみの仕分けはもちろん、適切なごみの処理やハウスクリーニングをしてもらえます。また、清掃業者によってはゴミ屋敷についた異臭を除去したり、不用品を買い取って清掃費用から値引きしたりするサービスを提供しています。
まとめ:片付けられない心理を理解して予防しよう
ゴミ屋敷の原因は、住人の心理的や精神疾患が関係していることが多いです。人によって部屋を片付けられない原因はさまざまですが、心理が問題である場合は長期的な予防・治療が必要になります。
ものを捨てられない・片付けができない心理を理解した上で、日ごろからゴミ屋敷の防止対策に努めることが大切です。